フィルムインサート成形は、射出金型に樹脂フィルムをインサートすることで、成形と同時に加飾することができる工法です。そのため、塗装などの後工程を削減することができ、リードタイムの短縮や、コストダウンを実現できます。また、複雑形状の対応力、デザイン性の自由度の高さも特徴です。こちらの記事では、そうした特徴をもつフィルムインサート成形について詳しく解説いたします。
目次
- フィルムインサート成形とは
- フィルムインサート成形の工程
- フィルムインサート成形のメリット
- 加飾技術ナビによるフィルムインサート成形の製品事例
- フィルムインサート成形のことなら加飾技術ナビにお任せください!
フィルムインサート成形とは
フィルムインサート成形は、機能性のあるフィルム(電気的機能や抗菌・抗ウイルス、耐薬品、指紋付着防止など)や意匠(デザインや柄)が印刷されたフィルムを真空・圧空成形で製品形状に合わせて成形(プレフォーミング)した後、射出成形の金型内にインサートする成形法です。上記製法でフィルムと一体化した製品が作製され、自動車の内装部品のパネルや外装部品、冷蔵庫や洗濯機の操作部パネル等に採用されています。
フィルムインサート成形の工程
1:加熱軟化
製品形状の金型にフィルムを挿入し、ヒーターでフィルムを加熱して軟化させます。
2:成形
真空や圧空の作用で金型に押し当て、軟化させたフィルムを製品形状に成形します。
3:加工
4:インサート
トリミングを行ったフィルムを成形金型に挿入します。
5:射出成形
成形金型を閉じ、樹脂を充填します。
6:完成
冷却した後、離型して成形品を取り出します。
フィルムインサート成形のメリット
フィルムインサート成形には
・深絞りの製品においての加飾に向いている
・フィルムを製品形状に合わせて成形(プレフォーミング)している為、製品上で求められる印刷位置の精度が高い
・複雑な立体形状や多色化、複数の柄にも対応が可能でデザイン自由度の幅が広がる
といったメリットがございます。
また、製品表面側にフィルムを設定する場合には、
・製品裏面の形状自由度が優れている
・エンボスのスイッチ形状を作ることが出来る
といった特長があります。
一方、製品裏側にフィルムを設定する場合には、
・ “奥行き感”のあるアイテムを検討することも出来る(透明樹脂使用の場合)
・導電性フィルム(電極フィルム)を活用することで電気機能を持ったアイテムを検討することも可能
といった特長があります。
加飾技術ナビによるフィルムインサート成形の製品事例
裏面(コア側)シートインサート成形
こちらは車載ヒーターコントロールスイッチの加飾事例です。
金型コア側へシートインサート成形を施しています。
本製品はサイズが小さいため、試作時に裏面への樹脂回り込みや、形状・取り数などによる±0.5mmの意匠ズレの問題が発生していました。そこで、加飾技術ナビに在籍する成形技術認定者とも協議の上、金型設計から流動を良くするための分析を行い、シートとコアのクリアランスを詰めることで改善できました。
表面(キャビ側)シートインサート成形
こちらは、車載ヒーターコントロールパネルです。金型キャビ側へシートインサートを施しています。
お客様は、コントローラーパネルとしての耐久性を求められていました。そのため、表面にシートフィルムを掛けています。また、こうした形状でよく発生してしまうウエルド(樹脂と樹脂の接合部跡)の隠し処理も行っています。
キックプレート
こちらは、エレベーター内にあるドアの損傷を防ぐための部品です。
従来、お客様の製品仕様としては、樹脂押出成形品と鋼板を別途作成をして組立ASSYする事で該当部品を作り上げてきました。しかしそれでは組立工数も掛かるため製作コストもかかってしまう上に、部品管理としても納期調整に苦慮されておりました。
そこで、金属調アルミシートをインサートした押出成形に工法転換することで、従来仕様と大差なく、さらに腐食や劣化なども少ない部品を製造することができました。
フィルムインサート成形のことなら加飾技術ナビにお任せください!
今回はフィルムインサート成形についてご紹介いたしました。
フィルムインサート成形は、塗装レスで環境面にもよいので近年注目されている成形法です。また、リードタイムの削減とコストダウンにも貢献できる技術でございます。
加飾技術ナビでは、VA・VE提案、工法転換提案など、様々な提案を行っており、また試作から量産までワンストップ対応が可能です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!