真空蒸着とは、高真空(10-2Pa以下)でアルミニウム(Al)や銀(Ag)等の材料を加熱蒸発させて製品に皮膜させる成膜方式です。真空蒸着は、成膜材料の大量蒸発が得られ、成膜速度が速いです。こちらの記事ではそのような、真空蒸着の特徴と実際の製品事例をご紹介いたします。
真空蒸着とは
真空蒸着とは、高真空中で蒸着材料を加熱し気化、昇華させ気体分子となった蒸着材料が対象物に付着することにより皮膜(薄膜)を形成する成膜技術です。
真空蒸着の原理
蒸着では、金属や金属酸化物などを加熱して蒸発気化させ、基材や基板に表面処理や皮膜(薄膜)を形成します。金属は溶かすだけで数百℃以上、気化させるには数千℃の温度が必要になるため、真空状態にすることで、金属などの蒸気圧の温度を下げることができ、1,000℃前後の加熱で気化させることが可能となります。
真空蒸着の工程
1:前処理
前処理では、バフがけなどの表面処理を行い、コーティングの準備をします。
2:除電エアーブロー
除電エアーブローで、目に見えない粉塵を吹き飛ばします。同時に静電気除去も行われるので、粉塵が付着するのを防ぐことができます。
3:アンダーコート
製品表面を鏡面化し、アルミの密着性を高める作業です。また、サビを防ぐ効果もあります。ロット数の大きな量産製品は、自動塗装機にてアンダーコート作業を行い、複雑な形状の製品など、繊細な作業が必要な場合は手吹きによるアンダーコート作業を行います。
4:乾燥炉
アンダーコートを施した製品を乾燥炉に入れ、十分に乾燥させます。
5:真空蒸着
真空蒸着機により、アルミを製品の表面に蒸着させます。
6:トップコート
真空蒸着後は、酸化防止とアルミを剥がれにくくするために、クリアー塗料を塗ります。トップコートを施すことにより、汚れやキズにも強くなります。
7:完成
蒸着した製品を検品・梱包し、完成です。
真空蒸着の特徴
真空蒸着には、様々な特徴があります。
①装置がシンプル
装置がシンプルなので構造もシンプルです。
②皮膜(薄膜)にムラが出来にくい
真空蒸着で加熱されることで気化した金属の分子は小さいので皮膜(薄膜)にムラが出来にくいです。
③汎用性が高い
金属を初め非金属(樹脂、ガラス等)までさまざまな素材に対してコーティングが出来る為、汎用性が高いです。
④成膜速度が速い
成膜材料の大量蒸発が得られるため成膜速度が速いです。
⑤気化するまでの工数と時間があまりかからない
真空蒸着は沸点が低く、気化させるまでにかかる手間や時間を少なくできます。
⑥高純度の皮膜(薄膜)ができる
高真空で成膜する為、高純度の皮膜(薄膜)ができます。
⑦低融点の成膜材料に適している
高融点の原料には向かないですが、抵抗加熱では低融点の成膜材料に適しています。
真空蒸着の種類
真空蒸着には、様々な種類が存在しています。真空蒸着の一般的な4種類を紹介いたします。
①蒸着法
真空にした容器の中で、金属や酸化物などの成膜材料を蒸発させて、素材の表面に凝着し薄膜を形成する手法です。
②イオンプレーディング(IP)法
真空中で金属を熱やプラズマのエネルギーで気化させ、それに反応性ガスと組み合わせてセラミック膜を形成させる蒸着方法です。
③スパッタリング法
放電によるプラズマ中にできたイオン(通常Ar+イオン)を成膜材料の板(ターゲット)にぶつけて材料を勢いよくはね飛ばし、飛ばされた成膜材料が基板へ飛んでいき付着し薄膜を形成する手法です。蒸着法では困難な材料でも、成膜 が可能になり広範囲な成膜材料に対応が可能です。
③化学気相成長(CVD)法
目的となる薄膜の原料(ガス気体)を供給し、熱、プラズマ、光などのエネルギーをプラスし化学反応により膜を堆積する方法です。その与えるエネルギーは、熱CVD、プラズマCVD、光CVDに分類されます。
④原子層堆積(ALD)法
CVDの1種と言われますが、2種類以上の原料気体(プリカーサー,前駆体)を交互に導入と排気を繰り返し、成膜表面に吸着した原料分子を反応させて膜化する方法です。TMA供給、パージ(余剰 TMA、CH₄)、H₂O供給、パージ(余剰H₂O、CH₄)を1サイクルとして繰り返し成膜を行います。
加飾技術ナビの真空蒸着の事例をご紹介!
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今回は真空蒸着についてご紹介いたしました。真空蒸着はガラスやプラスチック製品の製作に用いられることが多いです。
当社では、VA・VE提案、工法転換提案など、様々な提案を行っており、また試作から量産までワンストップ対応が可能です。
真空蒸着に関して、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
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