プラスチックへのメッキは、私たちの周りの様々な製品に採用されている技術です。こちらの記事では、プラスチック(樹脂)にメッキを施すメリットと製品事例を紹介いたします。
目次:
メッキとは?
メッキは、金属や非金属の製品表面に被膜を施す工法です。
メッキを施すことにより、製品に意匠性や防錆性、防摩擦性を付与することができ、自動車の外装や住宅設備関係など様々な製品に採用されています。
代表的なメッキの種類
クロムメッキ
まず1つ目がクロムメッキです。クロムメッキには、耐久性、耐候性が高いという特徴があります。
また、膜厚の違いにより「装飾クロムメッキ」と「硬質クロムメッキ」の2種類に分けられます。
「装飾クロムメッキ」は、被膜が薄いです。そのため光沢感による意匠性があります。
一方、「硬質クロムメッキ」は、被膜が厚いです。そのため強度があり、摩擦に強いです。
ニッケルメッキ
2つ目はニッケルメッキです。ニッケルメッキには、光沢と発色が良く意匠性があり、熱にも強いという特徴があります。
また、ニッケルは、レアメタルなので耐食性があり硬度が高いです。
装飾品や他メッキの下地としても活躍しています。
プラスチック(樹脂)へのメッキと金属材料へのメッキの違い
プラスチック(樹脂)へのメッキを施す場合と金属材料へのメッキを施す場合を比較した際、大きく2つ異なる点があります。
1つ目は工程の違いです。
具体的に脱脂工程の後工程が異なります。
(プラスチック、金属ともに脱脂工程はあります。)
プラスチックは、触媒が無いとメッキ仕上げができません。
そのため、素材表面にパラジウムを吸着させて通電できるようにして
電気メッキを行いプラスチックメッキが仕上がります。
反対に金属材料は、通電ができるため触媒の必要が無く電気メッキを行うことができます。
2つ目はメッキ被膜の密着の違いです。
プラスチックは、メッキ前工程で素材表面を粗くし凹凸を形成し、メッキでアンカー効果を付与して密着します。一方、金属の場合、素材表面との結合によって密着します。
プラスチック(樹脂)へメッキを施すメリット
プラスチックにメッキを施すことで、主に下記3つのメリットがあります。
コストダウンと軽量化
プラスチックにメッキを施すことで、金属のような見栄えにすることができます。そのため、金属からプラスチックへの置き換えをすることで、軽量化やコストダウンに繋がります。
加飾性
メッキ液の選択によって、光沢を付与したり、艶を消したりすることができます。最近では高級感を演出するために、黒色メッキや艶や光沢を抑えたマット調の黒色(マットブラック)にニーズが高まっています。
機能性
プラスチックにメッキを施すことで、導電性・磁気特性・摩耗性・摺動性・耐熱性・耐変色性を付与することができます。
プラスチックへのメッキ事例をご紹介!
続いて、加飾技術ナビで加飾を行った製品事例について、3つご紹介致します。
1.ダイレクトメッキを用いた吐水口
こちらは、住宅で使用される吐水口の金具へダイレクトメッキを施した事例でございます。加工工程としては、ABS成形+ダイレクトメッキでございます。メッキにおいては無電解ニッケルなどがよく使用されますが、水洗金具の場合には腐食が横に広がりながら進んでしまうため、メッキが浮いて割れてきてしまい手を切ってしまう事象も発生します。今回の事例では、ダイレクトメッキを施すことで、水が入っても腐食しにくく、
メッキ浮きなどの進行を遅らすことが出来るようにいたしました。
2. スイッチカバー
こちらは、業務用洗濯機のパネルスイッチです、射出成形後、メッキ処理を致しました。
本体がフルモデルチェンジでの仕様で新たにスイッチボタン式となる為、パーティングライン位置も考慮され嵌合重視の部品仕様となります。
当初、デザインに関しての要望などありませんでしたがデザイナー様のご要望もあり、メッキ仕様となりました。
いただいた設計では不良率が30%を超えており量産移行するにはほど遠い状態でしたが、吊り治具の位置関係の変更などを行い不良の軽減に成功いたしました。
3. 家庭用ビールサーバー用タップ化粧枠/液受け皿
こちらは、家庭用のビールサーバー機器の部品に金属の光沢感を演出できるメッキ加工をし、高級感を出せた事例となります。ABS樹脂にメッキ加工を行い、製作致しました。今回のお客様の求める特徴は、金属の光沢と高級品となります。新型コロナウイルスの流行により、飲食店の酒類提供が規制され、家呑み需要が増加しました。そのため、家で本格的にビールを楽しめるビールサーバーの需要も増加しています。今回のお客様はすでにビールサーバーを市場に展開しておりますが、今回の製品はその上位互換モデルに当たります。今回の製品は主に富裕層向けの高級品のため、見た目の高級感が求められています。
プラスチックへのメッキのことなら加飾技術ナビにお任せください!
今回はプラスチックへのメッキについてご紹介いたしました。
プラスチックに意匠性・機能性を付与できる加飾は、自動車部品や住宅設備製品などを中心に様々な製品の製作に用いられています。
みなさまの金属部品やその他製品なども、加飾による生産に工法転換することで、コストダウンや品質向上が見込めます。
加飾技術ナビでは、加飾への工法転換を通してVA・VEの実現をご提案しております。
加飾に関して、VA・VE提案・工法転換提案から試作・量産までワンストップで対応が可能な加飾技術ナビまでぜひお問い合わせくださいませ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!