加飾フィルム成形は、専用のフィルムを使用して、樹脂や金属製品などに装飾をする加飾工法です。こちらの記事では、その加飾フィルム成形の特徴と実際の製品事例をご紹介いたします。
加飾フィルム成形とは
加飾フィルム成形は、専用のフィルムを使用し、プラスチック製品や樹脂製品、金型製品等を装飾する工法です。1枚のフィルムを成形時にセットするだけで製品に加飾することができるため、塗装やメッキ処理と比較して、手間や費用、時間がかからないという特長があります。
フィルムの種類には、PE(ポリエチレン)フィルムや、PP(ポリプロピレン)フィルム、PC(ポリカーボネート)フィルムなど、日常生活で使用するものから、耐熱性・耐寒性が高く、高強度でスマートフォンの基板材料や人口衛星等の宇宙産業等過酷な状況で使用できるものまで多岐にわたります。また、木目調や石目調、メッキなど、バラエティーに富んだ色や模様、質感等があります。
機能性フィルムについて
フィルムには多彩な素材があり、質感やデザイン性を付加できるフィルムの他に、機能性フィルムで基材に下記のような性能を付加することが可能です。
1:導電性
カーボンの練り込みや、金属を蒸着させることで本来は電気を通さないプラスチックに導電性を持たせることができます。
2:耐熱性
金属よりも軽量で、200℃の高温でも変形しないすぐれた耐熱性を実現できます。
3:耐衝撃性
日光に晒されると脆くなるという汎用樹脂の欠点を改善し、外部からの衝撃に対する強度を強化できます。
4:自己修復性
表面に凹み傷が付いても自然に修復できます。タッチパネルの画面保護フィルムなどに適しています。
5:耐摩耗性
軽量でありながら、金属並みの耐摩耗性を実現できます。摩擦力に対して強い耐性を発揮します。
6:環境対応性
使用後、土の中で微生物により分解され、焼却しても有害物質を発生しないようにできます。
7:透明性
ガラス並みの透明性を実現できます。光線透過性にもすぐれています。
加飾フィルム成形の代表的な工法
加飾フィルム成形の代表的な工法として、フィルムインサート成形と、TOM成形があります。
フィルムインサート成形
フィルムインサート成形は、機能性のあるフィルム(電気的機能や抗菌・抗ウイルス、耐薬品、指紋付着防止など)や、意匠(デザインや柄)が印刷されたフィルムを真空・圧空成形で製品形状に合わせて成形(プレフォーミング)した後、射出成形の金型内にインサートする成形方法です。
TOM成形
TOM成形は、木目や石目、カーボン調の特殊なフィルムを3次元の形状に貼り合わせることで、塗装では不可能な柄の加飾を実現できる加飾工法です。また、機能性フィルムを使用することで、製品の意匠性向上だけではなく、封止や防水、防汚などの機能性を付与することもできます。
加飾フィルム成形の製品事例
フィルムインサート成形 車載ヒーターコントロールスイッチ
こちらは車載ヒーターコントロールスイッチです。金型コア側へフィルムインサート成形を施しています。
本製品はサイズが小さいため、試作時に裏面への樹脂回り込みや、形状・取り数などによる±0.5mmの意匠ズレの問題が発生していました。
そこで、当社の成形技術認定者が、金型設計から流動を良くするための分析を行い、シートとコアのクリアランスを詰めることで改善できました。
TOM成形 内装部品
これらは、車載内装部品です。ABS樹脂にTOM成形を行うことで、木目調の質感を表現しています。
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今回は、加飾フィルム成形についてご紹介いたしました。
加飾フィルム成形は、塗装やメッキ処理と比較して、手間や費用、時間がかからずに、様々な意匠性や機能性を付与することができる加飾工法です。
当社では、加飾フィルム成形に関して、試作から量産までワンストップ対応が可能です。また、加飾フィルム成形以外にも、様々な加飾工法の実績がございます。
加飾フィルム成形をはじめ、加飾に関してお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!