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加飾技術の基礎知識・技術コラム

加飾の種類とは?

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プラスチックに機能性や意匠性を付与できる「加飾」ですが、加飾にはどのような種類が存在するのでしょうか。
本コラムでは、加飾の種類について詳しく解説します。
本記事を読むことで、加飾の種類が体系的に理解できます。
設計や開発・購買の方にぜひ読んでいただきたい記事です!

目次

加飾の種類について

①-1 二次加飾

①-2 加飾の製作工法

加飾技術ナビの製品事例をご紹介!

加飾のことなら加飾技術ナビにお任せください!

加飾の種類について

加飾にはどのような種類があるのでしょうか。
加飾には様々な種類があり、加飾の分類方法にもいくつかの分類方法があります。
分類方法や、一次加飾(成形サイクル内での加飾)、二次加飾(成形後の加飾)については、以下の記事でご紹介致しました。

>>加飾とは?メリット・デメリット、種類、トレンドについて解説

本記事では、具体的な加飾の各手法について詳しく解説します。

特に、二次加飾の種類と製作工法について解説します。
具体的には、主に以下のような種類がございます。これらの加飾種類と製作工法を組み合わせることで、様々なデザイン・機能を持つ製品を製造できます。

二次加飾

・蒸着

・スパッタリング

・塗装

・メッキ

・スクリーン印刷

・ホットスタンプ

・レーザーマーキング

・水圧転写

・AG処理

加飾の製作工法

・フィルムインサート成形

・インモールド成形

・TOM成形

・2色成形

それぞれの加飾技術について詳しく解説します。

二次加飾

蒸着

蒸着(読み方:じょうちゃく)とは、金属や酸化物などの材料(蒸着材料と呼びます)を加熱し、蒸発または昇華させて、蒸発物を母材の表面に付着させる表面処理のことで、薄膜を形成する手法の一つです。蒸着は、物理反応を利用する物理蒸着(PVD)と化学反応を利用する化学蒸着(CVD)の2種類に大別されます。

多くの製品に用いられている「真空蒸着」はこの物理蒸着に分類されます。真空蒸着とは「真空」という文字の通り、蒸着材料を加熱する際に、真空状態にして蒸発または昇華させる蒸着方法のことを言います。

また、物理蒸着には真空蒸着以外にも、スパッタリングとイオンプレーティングがあります。

蒸着の技術を活用すると、アルミ、クロム、亜鉛、金、銀といった様々な蒸着材料を薄い膜状にして、母材にコーティングできます。
そのため、蒸着は自動車部品から住宅設備部品・電子部品・食品の包装・建材にいたるまで様々な分野に用いられています。

スパッタリング

スパッタリングとは、真空中に不活性ガス(主にアルゴンガス)を充填させ、製品とターゲット(成膜させる物質、クロム・チタンなど)間に直流高電圧を印加(いんか)し、イオン化したアルゴンをターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を製品に成膜させる方法のことです。

スパッタリングは乾式メッキ法に分類され、素材を液体や高温気体にさらす事なくメッキ処理することが可能です。そのため、塗装やメッキと比べると、環境にやさしい表面処理方法となっております。
また、スパッタリングでは、蒸着では難しい合金(SUSやニッケルクロム合金など)を成膜できるというメリットもあります。

塗装

塗装とは、製品へ塗料を塗布し、製品を塗料の皮膜で覆うことです。
塗装には、金属調塗装、ソフトフィール塗装、インクジェット塗装、金型内塗装など多くの種類がございます。

メッキ

メッキとは、金属や非金属などの固体表面に金属膜を形成する技術のことです。
耐食性を高めるために用いられることが多いですが、加飾では装飾性を高める目的でも行います。
また、通常は金属に対して行うことの多いメッキですが、加飾技術においては、プラスチックに対してメッキを行うことが可能です(プラスチックメッキと呼びます)。
プラスチックメッキの対象としては、主にABS樹脂(アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂)があります。

ABS樹脂へのめっきでは、表面近傍にあるブタジエンゴム粒子をエッチングによって除去した後、無電解メッキと電気メッキを行い、表面にメッキ被膜を形成します。

メッキのメリットとして、メッキ液の選択によって、光沢付与したり、艶を消したりと、調整できるという特徴があります。最近は高級感を演出するために黒色めっきや艶や光沢を抑えたマット調の黒色(マットブラック)に関するお問い合わせが多いです。
加飾メッキは、自動車の外装・内装部品、鉄道部品、水栓金具、家電部品の装飾などに幅広く使用されています。

スクリーン印刷

スクリーン印刷とは、穴(孔)のあいた版にインキをのせて、スキージと呼ばれるヘラを用いて、反対側へインキを押し出して、被印刷物にインキを載せる技術のことです。

スクリーン印刷は他の印刷方式と比較して、印刷可能なインキと被印刷物の自由度が高いです。また、印刷した際のインキの厚み(印刷膜厚と呼びます)を他の印刷方式と比べて自由度高く調整できるという特徴があります。

スクリーン印刷は、工業では、射出成形品やプレス部品への加飾、基板の回路形成などに用いられ、身近なところでは、Tシャツやガラスなどに用いられています。

ホットスタンプ

ホットスタンプとは、箔押( ハクオシ) とも呼ばれ、加熱した凸版で箔(加飾シートと呼びます)を素材にプレスする事で、箔を素材に吸着させる技術のことです。
ホットスタンプは、通常の塗装などと違い、乾燥工程が必要なく、比較的短時間での製造が可能です。
ホットスタンプは金属光沢を容易に得られるため、商品の容器や包装、エンブレム等の印刷に用いられることが多いです。

レーザーマーキング

レーザーマーキングとは、高エネルギーのレーザー光線を素材に照射し、熱的・化学的な反応を利用して、素材に文字や図形を表現する技術のことです。
レーザーマーキングを用いると、樹脂部品にも文字を刻印できます。
使用するレーザーには、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)、YAGレーザー、高周波YAレーザー、エキシマレーザーなどがあります。
また、マーキング方式には、スキャン式、マスク式などがあります。
自動車の車載部品や電子機器製品など様々な製品に用いられます。

水圧転写

水圧転写とは水面にデザインフィルムを浮かべ、転写対象物をフィルムの上から水中に沈めて、水圧により材料にデザインを転写させる技術のことです。
複雑な形状の転写対象物でも水中では水圧が均一にかかる事を利用してきれいにデザインを転写できます。
車の内装に使われている木目調のパネルなどに水圧転写の技術が用いられています。

AG処理

AG(アンチ・グレア、Anti-Glare)処理またはAGコーティングとは、ガラスの表面に、微細な凸凹をつけることで、入射光を乱反射させ、光の映り込みを抑える加工技術のことです。
また、AG処理を施した製品の表面は防腐性・耐擦傷性に優れています。無反射ガラスとも呼ばれています。
AG処理は、テレビやPCのディスプレイなどに用いられています。

加飾の製作工法

フィルムインサート成形

フィルムインサート成形とは、あらかじめ意匠印刷を行った熱可塑性樹脂フィルムあるいはシートなどを、金型あるいはダイに挿入し、熱で溶かした樹脂材料を、圧力を加えて金型に流し込み、冷却し固め、印刷シートと成形樹脂材料を一体化した製品を製造する技術のことです。
スクリーン印刷・フォーミング・インジェクションという3つの工程からなります。

フィルムインサート成形は、複雑形状の部品にも着色でき、また塗装と違い、デザインに制限なく自由なデザインが可能という特徴があります。
自動車部品の製造に良く用いられます。

インモールド成形

あらかじめデザインが印刷されたフィルムを金型に挟み込んで樹脂を流し込み、射出成形の熱と圧力により、成形と同時にデザインを転写する技術のことです。

TOM成形


TOM(Three dimension Overlay Method)成形とは、基材の表面に特殊なフィルムを貼り合せることで、成形品の意匠性及び機能性を高める技術のことです。
TOM成形は、
・基材の材質の自由度が高い
・フィルムをそのまま貼り付けるため、フィルムの質感や触感を反映でき、質感や触感も含めた豊かな表現が可能
・フィルムをそのまま貼り付けるため、防水や防汚などの機能を持ったフィルムを用いることで、基材に様々な機能を付加できる
・製造工程における環境負荷が少ない
といったメリットがあります。
そのため、高い意匠性と機能性が求められる自動車の車載部品などに良く用いられます。

2色成形

2色成形とは、異なる樹脂を組み合わせ一体化させる成形技術のことです。
1回の工程・サイクルで2種類の樹脂を組み合わせることからダブルモールド(doublemolding)とも呼ばれます。
2色成形で用いる成形機には、2本のノズル・シリンダーがあり、それぞれから金型内部に素材を射出充填することで、異なる素材を組み合わせた部品を製造します。
2色成形の一般的な工程では、金型の凹部(キャビティ、cavity)の異なる2つの金型を用います。

2色成形で使われる材料は全て熱可塑性樹脂になります。材料としては、プラスチックやエラストマー(熱可塑性のあるゴム弾性を有する材料のこと)などがあります。

2色成形は、自動車車載部品等に用いられ、身近なところでは、キーボードなどのPC周辺機器やスマートフォン部品等に用いられています。

加飾技術ナビの製品事例をご紹介!

続いて、加飾による加飾技術ナビでの製品事例について、3つご紹介致します。

1.印刷シート+蒸着部品

印刷シート+蒸着部品

本事例は車載顧客の車載ナビボタンスイッチの成形、加飾事例となります。
ナビのボタンの使用頻度が高いため、今回のお客様が特に重視するのは、ボタンスイッチ加飾の耐久性と導電しない仕様でした。そこで弊社が提案したのは、部品①をPMMAで成形し、部品②のシートに文字、記号を印刷、部品③を2色成形・インジューム蒸着(不連続蒸着)加工を行い、この三つの部品を手組でのASSYです…

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2.2色成形+耐久性を上げるホットスタンプ加工

2色成形+耐久性を上げるホットスタンプ加工③

今回の事例は車載センターコンソールダイヤルの加飾加工事例となります。
製造工程としては、2色成形+マット調メッキ加工+耐久性を上げるホットスタンプ加工をいたしました。

車載センターコンソールダイヤルは頻繫に使われますので、お客様が求める特徴としては、手触りの心地よさと傷付きにくい耐久性でした。
こちらのリクエストを満たすため、PC+PCABSの二色成形加工で加工を施しました…

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3.導電しない仕様 不連続蒸着品

導電しない仕様 不連続蒸着品

こちらの事例は、車載ボタンスイッチの加飾事例になります。
製造工程としては、単色成形+インジューム蒸着、2色成形+アルミ蒸着となります。
この車載ボタンスイッチは、2つの部品を組み合わせて構成されます。お客様が求める特徴としては、ボタンに金属感を出すと同時に、誤動作を防止するため、導電しないことでした。
それを実現するため、当社は…

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加飾のことなら加飾技術ナビにお任せください!

今回は加飾の種類についてご紹介させていただきました。
加飾の種類についてご理解いただけましたでしょうか。

プラスチックに意匠性・機能性を付与できる加飾は、自動車部品や住宅設備製品などを中心に様々な製品の製作に用いられています。
みなさまの金属部品やその他製品なども、加飾による生産に工法転換することで、コストダウンや品質向上が見込めます。

本サイト、加飾技術ナビでは、加飾への工法転換を通してVA・VEの実現をご提案しております。
加飾に関して、VA・VE提案・工法転換提案から試作・量産までワンストップで対応が可能な加飾技術ナビまでぜひお問い合わせくださいませ!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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